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横浜地方裁判所 平成7年(わ)1732号 判決

被告人

有限会社ササキ企画

本店の所在地

横浜市都筑区富士見が丘二二番一八号

代表者の氏名

佐々木幸一

代表者の住居

横浜市都筑区富士見が丘二二番一八号

被告人

佐々木幸一

本籍

横浜市都筑区富士見が丘二二番

住居

横浜市都筑区富士見が丘二二番一八号

職業

会社役員

年齢

昭和一四年九月一〇日生

主文

1  被告人有限会社ササキ企画を罰金一五〇〇万円に処する。

2  被告人佐々木幸一を懲役一年に処する。

同被告人に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

3  訴訟費用はその二分の一ずつを各被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社ササキ企画は、横浜市都筑区(平成六年一一月六日行政区変更以前は緑区)富士見が丘二二番一八号に本店を置き、博物館・博覧会等のディスプレイデザインの企画・設計・施工等を目的とするものであり、被告人佐々木幸一は同社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものである。

被告人佐々木幸一は、被告人有限会社ササキ企画の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ、

第一  平成二年一〇月一日から平成三年九月三〇日までの事業年度における有限会社ササキ企画の実際所得金額は六二一五万三八九一円であり、これに対する法人税額は二二四一万九五〇〇円であったにもかかわらず、平成三年一二月二日、横浜市緑区市ケ尾町二二番地三の所轄の緑税務署において、同税務署長に対し、同事業年度の所得金額は一五八万九七九〇円であり、これに対する法人税額は三一万七〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により被告人有限会社ササキ企画の右事業年度の正規の法人税額との差額二二一〇万二五〇〇円を免れ、

第二  平成三年一〇月一日から平成四年九月三〇日までの事業年度における有限会社ササキ企画の実際所得金額は六七三五万九五六四円であり、これに対する法人税額は二四四八万二九〇〇円であったにもかかわらず、平成四年一一月三〇日、前記の緑税務署において、同税務署長に対し、同事業年度の所得金額は一九八万七五九三円であり、これに対する法人税額は五三万九七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により被告人有限会社ササキ企画の右事業年度の正規の法人税額との差額二三九四万三二〇〇円を免れ、

第三  平成四年一〇月一日から平成五年九月三〇日までの事業年度における有限会社ササキ企画の実際所得金額は一六二一万八二四五円であり、これに対する法人税額は五二八万八四〇〇円であったにもかかわらず、平成五年一一月三〇日、前記の緑税務署において、同税務署長に対し、同事業年度の所得金額は三五二万九四九四円であり、これに対する法人税額は九五万四八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により被告人有限会社ササキ企画の右事業年度の正規の法人税額との差額四三三万三六〇〇円を免れ、

第四  平成五年一〇月一日から平成六年九月三〇日までの事業年度における有限会社ササキ企画の実際所得金額は三一〇五万七三三〇円であり、これに対する法人税額は一〇八八万六三〇〇円であったにもかかわらず、平成六年一一月三〇日、前記の緑税務署(平成六年一一月六日行政区変更以後、横浜市青葉区市ケ尾町二二番地三)において、同税務署長に対し、同事業年度の所得金額は二四三万二五七八円であり、これに対する法人税額は六八万〇九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により被告人有限会社ササキ企画の右事業年度の正規の法人税額との差額一〇二〇万五四〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書(乙1 4 5)及び検察官に対する供述調書(二通)

一  登記簿謄本

一  検察事務官作成の捜査報告書、電話聴取書

一  大蔵事務官作成の査察官報告書(甲3)

一  大蔵事務官作成の調査書(売上高、外注加工費(製造原価)、支払手数料、受取利息、損金の額に算入した道府県民税利子割、事業税認定損、普通預金、定期預金)

一  被告人作成の証明書(修正申告)

一  大蔵事務官作成の査察官報告書(甲24)

一  佐々木幸子の大蔵事務官に対する質問てん末書(二通)及び検察官に対する供述調書

一  今村宗三の大蔵事務官に対する質問てん末書及び検察官に対する供述調書

判示第一の事実について

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書(乙2 3)

一  大蔵事務官作成の調査書(給料手当)

判示第二の事実について

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書(乙2 3)

一  大蔵事務官作成の調査書(接待交際費、出張費、損金の額に算入した道府県民税等、交際費等の損金不算入額)

判示第三の事実について

一  大蔵事務官作成の調査書(租税公課、出張費、損金の額に算入した道府県民税等、納税充当金から支出した事業税等の金額)

判示第四の事実について

一  大蔵事務官作成の調査書(接待交際費、租税公課、会議費、雑損失、除却損、納税充当金から支出した事業税等の金額)

(法令の適用)

罰条 いずれも、法人税法第一五九条第一項(第二項)

被告人有限会社ササキ企画につき、更に法人税法第一六四条第一項

刑種の選択 被告人佐々木幸一につき、懲役刑選択

併合罪の処理 平成七年法律第九一号附則第二条第二項、刑法第四五条前段

懲役刑(被告人佐々木幸一)につき 刑法第四七条本文、第一〇条

(最も犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重)

罰金刑(被告人有限会社ササキ企画)につき 刑法第四八条第二項

主刑

被告人有限会社ササキ企画 罰金一五〇〇万円(求刑 罰金二〇〇〇万円)

被告人佐々木幸一 懲役一年(求刑 同)

刑の執行猶予

被告人佐々木幸一 平成七年法律第九一号附則第二条第三項、第二項、刑法第二五条第一項(三年間)

訴訟費用の負担 刑事訴訟法第一八一条第一項本文

(量刑の理由)

被告人有限会社ササキ企画は被告人佐々木幸一が業務全般を統括していたものであるが、業績の悪化に備えるなどの目的で法人税逋脱を企て、売上除外(四期合計約二二億七二二七万円のうち約四億四三六三万円を除外)などの方法により次のとおり、法人税を不正の方法によって免れていたものである。

〈省略〉

本件発覚後、被告人会社は、本件に関し、合計約二億四三三〇万円(うち重加算税約四六五五万円)を納付した。

被告人佐々木幸一も反省の態度を示している。

以上の事情を考慮したうえ、主文のとおりの刑を決定した。

(検察官 國分敬一 弁護人 井上啓 出席)

(裁判官 秋山敬)

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